土方と一夜を共にして
不本意ながら、大蔵のくれた着物を着る


早朝



「おーい!!」



聞き覚えのある声


「知り合いか?」


コクリ



土方に肩を抱かれ外へ



「のぶ様!!貴様!!!のぶ様を離せ!!」



慌てて〝違う〟と両手を振る



「のぶってのか?
俺は、土方歳三だ」


覗き込まれ、慌てて手を隠す


「のぶ様!!こちらへ!!」



平助は、屋敷の使用人に手をひかれる



「お助け頂いたようだな
礼だ とっておけ!」



使用人が二両 土方に渡した



「のぶ様 あちらに輿を用意してございます
さぁ 夜が明けきる前に戻りましょう」




促されて歩く


途中、振り返ると土方が優しく笑った














試衛館に行けば、いつでも会える
その人が、まるで…


二度と会えない人に思えた










俺は、藤堂平助なんだ














真実を知れば、〝嘘つき〟

〝俺を騙したのか〟と傷つける








あの人は、優しいから
俺を罵ることもせず、黙って
傷を深くする






嫌われたくない













土方さんが、好きだから…