午前中のまだ肌寒いくらいの時間

宴が始まった

天候に恵まれ
降り注ぐ日の光を浴び

天を仰ぎ、ニコリと笑う平助を
その場にいた男女全員がうっとりと
見惚れる


ご機嫌に見える平助の心中は




〝怖いな……〟




「ふふっ」


「ん?」



急に笑う平助に慶喜が見る



「ちゃんと女に見えてるかな?」


「……見えてるに決まっているだろ」


「狼が着物着て座ってるみたいじゃない?」


「ふっ 馬鹿を申すな」



〝ちゃんと、守るから〟




落ち着きを取り戻し、客人の挨拶に
微笑む




〝あー、つまんねぇ
早く酒呑みたい……〟




小さくため息


ちらりと視線を酒に向けると
酒越しに近藤と目が合う


近藤が平助の気持ちを察して


『もう少し』



と、口を動かす



ニコッとそれに返す



〝酒呑みたいのバレバレ〟



食事が運ばれ、酌をされるがまま
どんどん呑む平助に


「姫様……そろそろ辞めましょうか」


世話人が睨む



「見て!ほら!お酒があると食べる量が
いつもより多い!ね!?」



虚弱で痩せた体を心配されていた為
城に来て初めての酒



「よい、飲ませておけば大人しいものだ」



慶喜が許可したことで、さらに呑む



そんな平助を土方が横目に見る





〝大丈夫かよ……
つーか、敵を油断させるにしても
飲み過ぎだろ……〟