「慶喜様 新選組からもお願いがあります」



「なんだ」



「姫様を下さい!」



近藤が頭を下げると幹部が一斉に下げる



「恐れながら、まだ公表されてない姫様なれば、実は新選組の監察方が家定様のお顔そっくりに化けて、姫様に扮していたということになります!」



「あはっ あはははははっ 
ならないだろ! あはははははっ!!!」



腹を抱えて笑う平助を土方が睨む



「慶喜様は、姫様が帰りたいと言えば
帰らせてくれると言ったんだ」


「……俺が、言うと思う?」


「だから!慶喜様に頼んでんだ!」


「新選組が手柄を立てたとか
そういう話を聞くだけで良い
この前の話したけど、新選組がいざこざを起こさなければ、今みたいに会えるし、話せる…それだけでいいよ」


「俺が嫌だっつってんだよ!!
勝手なことばっかりして…
ここじゃ、お前…
叱る奴、いねぇだろ!!!
お前は、俺の拳骨出来るとこにいろ!」


「なにそれ……
拳骨とか、嫌に決まってんだろ!!!
痛いんだよ!!土方さんの拳骨!!!」


「うるせえ!!!
絶対に死なせねえからな!!!
それと、連れて帰る!!
今まで何の相談もしなかったこと
全部含めて、拳骨すっからな!!!」


「ちょ……コイツ、無礼なんだけど!」


「俺も誠を土方に任せた方が良いと思ってる
狼は、狼の群れにいた方が良い
俺には、手に負えないようだ
だが、願いは叶える」


「あー、予定外」


項垂れる平助に康正と春嶽が笑う


「結局、新選組にいた方が良いってことか」


「此奴らなら、守ってくれるだろう」






「考えとく…
とりあえず、部屋に戻る
着物、重くて疲れた」