平助が城へ戻っていった




「土方さん?良かったんですか?」


「ああ 接近しないよう言われている
そばにいれただけでいい
新選組にいた頃みたいに
総司と話す声が聞けただけで、満足だ」


隣の部屋に潜んでいた土方が襖を開け
沖田に笑って答えた



「総司、約束したからには、帰ってこいよ
お前は、病に必ず勝つ!
労咳を治した俺が言うんだ!間違いねえ!」


「はい!近藤さんの元に帰ります!」


「……ふんっ 可愛くねぇな」













一方

無事に城に戻った平助は、慶喜の部屋へ



「ただいま」


「凄いな……城の警備を強化しないとな」


「ふふっ 必要ないよ
俺くらい観察してないと!
その日の当番が誰か、配置や交代の時間
全て覚えてないと無理だよ」


「お前は、覚えているということか」


「まあな!城で働いている人もだいたい
出入りしている人がイマイチなんだけど」


「其方が男なら、将軍の器だろうな」


「そうでもないよ
俺は、ほら!戦に真っ先に飛び込んで死ぬ
ような奴だと思うんだよな!」



慶喜に額の傷を見せる


「その傷は、戦で?」


「へへっ 死にかけた
将軍ってのは、死んじゃダメなんだ
俺は、自分よりも人の方が大事だから
ついつい防衛が疎かなんだけど
その分、強いから!」


「フッ 自信があるのだな」


「だから!慶喜の事もちゃんと守る!」


「頼もしいが、俺の目に……
其方は、ただの女でしかない
ちょっと狼のような気性だが
笑えば可愛い、黙っていれば美しい」


「//////なんだよ!!!変なこと言うな!!」


急に慶喜が真顔で平助を褒め
調子を狂わせ、赤くなる



「寝る!! おやすみ!!!」



天井へ逃げて行った


「なんなんだ……まったく……
今まで出会ったどの女とも違う
不思議な女だ」