陽乃が帰り

慶喜の元へ


「ありがとう!楽しかった!
もう一つ、お願いがあるんだけど」


今夜、城をぬけて沖田に会いに行くことを
慶喜に告げた


「なぜ、わざわざ俺に言う」


「誤解されたくないから」


「お前が羨ましいよ
徳川に縛られず、生きているようで」


「そう?結構、縛られてるよ
俺のせいで、死んだ友もいる
俺が、徳川から逃げなければ
今でも生きてたかもしれないと思うと
本当、申し訳ない」


「気をつけて行ってこい」


「ありがと」








暗くなり城を易々と抜け出し

近藤の妾宅へ



「総司!」


「わぁ!平助君!!
本当に来てくれたんですね!」


「へへっ!」


「隣は、近藤さんのお妾さんの部屋だから」



人の気配に視線をやると
沖田から説明された



「そう 
総司~会えないままだったから
どうしても会いたくて…」


「嬉しい!僕も会いたかったんだよ!
聞いたよ……土方さんが捜してたのが
平助君だったって……」


「うん… 悪いことした…
俺も土方さんが好きだったから」


「ふふっ知ってる
いつも見てたもんね?
憧れなのかと思ってたけど
今思えば、平助君の目は恋しい人を
見てる目だった」


「わかりやすいって、言われる」


「でも、誰も気がつかなかったね」


「ははっ そうだな
噂でバレるよりは、自分でバラしたかった
俺さ…皆に嫌われると思ってた
騙してたのか!嘘つきって…」


「ええ!?そんなことないよ!!
僕は、凄いなって尊敬してるよ!
平助君、女の子なのに男より強くてさ
それに… 怪我しても気にしてないし!
普通、男でも怯んじゃうのに」


「ずっと……
死に方考えてたんだ

どこで

どうやって

とか… ははっ 意外と死ねない
いざってなると、もう少しって
頑張ってたりするんだ

今でも……」


「平助君……だめだよ?」


「うん… 総司!
俺の代わりに、土方さんのそばにいてよ!
早く元気になって、新選組に戻って!」


「僕、近藤さんといたい」


「あははっ それでもいい!
総司、新選組に戻って!お願い!
絶対に病に負けないで!」


「平助君にお願いされたら
戻るしかないね!」


「総司…」


「平助君!お城で皆と仲良くやれてる?
喧嘩とかしてない?」


「うん…」


「しばらく新選組も出入りするみたいだから
何かあったら、ちゃんと頼るんだよ?」


「それは、無理
俺、そういうの苦手」


「そうだったね
でも、忘れないで…
新選組がそばにいるって!」


「ありがとう!総司に会いに来て
元気出た!!」