「元気そうで良かった!はっはっはっ!」



帰り道



「慶喜様というより、本当に徳川が
嫌なんだろうな…
わざと嫌われようとしてるんだろうが
立場が悪くなりはしないか、心配だな」



「しっかしよぉ…あんな格好してたら
やっぱり、女なんだなぁ」



「なかなか可愛かったな!?」



「おめえら…平助をそういう目で見るな!」



「うわっ!ヤキモチ!?」



「平助は、このまま
徳川で暮らすのだろうか」



斎藤が、ポツリ




「そうなるだろうな」




土方が答えた








永倉と原田が斎藤を挟み
小声で






「馬鹿!傷口に塩を塗るようなこと言うな」


「あれで、かなり傷ついてんだぞ」



「あ… すまん」














屯所に戻ると


陽乃から報告がある




「平助様は、逃げないとのことで
春嶽様と口喧嘩されたそうです」


「あー、俺達も平助に会えたぞ」


「え!?」


「狼のように、暴れてた」


「クククッ土方さん!言い過ぎ!」


「まあ、元気だったってことだ」


「皆さんを安心させるために、そう振る舞ったのでしょう
女だとバレてしまったので
慶喜様か、天子様の子を産まなければなりません…辛いはずです」


「は?徳川に戻るって、そういうこと?」



原田があんぐりと口を開けた


「血筋を絶やさない為、かぁ…」



土方が、呟いた




「家定様も平助様も、徳川の世が終わり
皆が平等であるべきだとお考えでした
血や身分など、なんの自慢にもならない
つまらないものだと」



「平助らしいな…」