一方





新選組では









「徳川家定様の御息女にあらせられます
藤堂家に育てられた事を感謝しており
藤堂平助として生きることが
平助様の望みでした
今夜… どこかへ
旅立つ予定だったそうなのです
あんなに…徳川を嫌っていたのに
自ら行かれるとは……」




陽乃が、平助の素性を話していた







「よほど……
土方さんが好きなんですね……
平助様は、土方さんの為に
生きていますから」




泣きながら笑う陽乃のそばに


土方が腰を下ろす





「気づいてやれなかった…」


「気づかれないようにしてましたから」


「それでも… 気づいてやれてたら」


「変わりませんよ
たとえ、気づいていたとしても
平助様は、新選組の為に
藤堂平助でいることを諦めたはずです」



「三木三郎が板倉様に命ぜられ
こうなるように動いていたということ
平助が家定様の御息女だと知っていても
俺達には、どうすることも出来なかった」



「私、春嶽様に会ってきます!
どうにか、平助様を逃がせないか」



「陽乃…無茶するな」



「私にもよくわかりませんが
春嶽様や康正様は、平助様を守って下さいます
先ほどの板倉様は…
多分、平助様を利用したいだけ
板倉様の手に、平助様があることだけ
お伝えして参ります!」




「それが済んだら、総司の看病に専念しろ」




「わかりました」