「もうすぐ、迎えにくる」


「うん…わかった
陽乃…総司の事、頼んだぞ」


「……平助様?
ちょっとお手伝いして、帰って来るんでしょ?」


「いや、もう帰らない」


「平助!!何言ってんだよ!!!」


「迎えに来るのは、板倉だろ?」


「呼び捨てにするな!!」


「平助様!!なりません!!」


「陽乃 コレ、お前が持ってるか
処分してくれ」



藤堂家の家紋を陽乃に渡す


「平助様…ううっ」



泣き崩れる陽乃の頭を撫でる



「ありがとう」




平助と陽乃のただならぬやり取りに
幹部達が息を呑む






外では、迎えが到着したらしく
騒がしい





「俺…藤堂平助藤原宣寅っていうんだ」




平助が髪を解き、襟巻きを外した

平助のホクロを見て


土方が口をパクパクとさせ



「のぶ…平助がのぶなのか?」




その言葉に、皆が驚愕する





土方が恐る恐る平助の頬に手を伸ばす




「ずっと……そばにいたのかよ……」




頬を撫でる手の温もりを記憶するように
平助が目を閉じて微笑んだ



左手で、土方の手を包むと

頬から放し、土方の方へ押し返した



「慶喜を守れば、新選組が安泰なんだろ
俺が守ってやるよ」


ニカッと笑い

土方に背を向けた


「平助!!待て!!」



平助が扉を開けると



「お迎えに上がりました」



「鈴木に聞いたのか?」



「ええ」