再び上から網が投げられると

それを待っていたように



平助が、走る




抜刀した隊士の股をシュッとすり抜け

再び屋根上へ







「平助!!!大人しく捕まってくれや!!」



山崎が長巻を振る




「おっと!烝!久しぶり!」



ニコリと笑い


体術で山崎をかわす





追いかけて来る陽乃や
本気で向かってくる
嘗ての仲間達を振り切り









平助が月真院に戻った














「ただいま」




帰った事を伊東に知らせに行くと




「おかえり
平助を守りたいのに…
帰って来てくれると嬉しい
矛盾しているな……」




「伊東さん…九州に行ったらどうする?」



九州行きは、難しい
それを分かっていて、平助が聞く



「そうだな……
気に入った屋敷があるんだ
そこで、道場を開こうか
近所の子供に教えよう!」


「うん!俺、畑欲しいな!
自給自足したい!」


「平助、料理はできるのか?」


「出来るよ!普通だけど…」


「普通?食べてみたいものだ」


「うん!普通だよ!
ふふふっ 伊東さんとこういう話をしたかったんだ!
三木三郎……説得、難しいんだろ?」



「今まで、俺に逆らったことのない弟が
急にどうしたものか……」



「俺が、伊東さんを独り占めしてるから
ヤキモチなんじゃねぇ?」



「はははっ 可愛いことを言うな」



「は? …今の可愛いかったか?」



「ああ」






伊東が幸せそうに微笑んだ