夕暮れ時に


森の小屋に到着し、中に入る


すっかり汚れてしまった床に手をつく



「無理……もう、無理…」




涙が溢れ、視界が歪む


「うっ うっうっ」



小屋の中にある物を積み上げ
縄を梁に掛け輪を作ると
それに顔を通した




ガタンッ





積み上げた物から飛び降りる
縄が容赦なく首に食い込む



「ううっ」



息苦しさは、井戸で経験したものとは
比べ物にならない



すぐに意識が遠退く





「おいっ!!」



ザクッ






縄を切られ、小屋に入ってきた男に
受け止められる




「ゲホッ ゲホッ ゲホッ」



「馬鹿なことしてんじゃねえ!!!」



「ケホッ うううぅ……うわぁーーー」



男の腕の中で、子供のように泣いた












「落ち着いたか?」


「あ…すみません」




男から離れる





「話してみろ」



「俺…道場の尊敬してた先生に
手篭めにされて……
なんか、どうしていいか
わかんなくて……」



「そうか、俺 毛内有之助
お前のような女子顔だ襲われるのも
わからんでもないが
しかし、その先生、よほど好みなのだな
男を手篭めにするなんてよ」



「あ……あはははははっ あ、ごめん…」



急に笑い出す平助を男がキョトンとする



「俺、藤堂平助 新選組の組長で
隊士募集に来てるんだ
俺… 女なんだ」