急にドンッ!と大きな音が静寂な廊下に響き渡って、壁に押し付けられる私の背中。
何が起こっているのか分からなくて、頭が酷く混乱する。
「…え?玖珂くん?」
目が合う距離の近さに恥ずかしくなって、玖珂くんから
逃れようとしても…
頑丈に頭の上で手を掴まれているせいで、身動きが取れなくなってしまった。
見上げるのが、こんなにも恥ずかしいなんて…。
目の前に映る玖珂くんが、一気に男の子に感じるんだ。
「男に可愛いって言っちゃダメ」
「…あ…っ、ごめんなさい……玖珂くん…。」
無意識に出していた言葉が、知らないうちに玖珂くんを不愉快な思いにさせていたんだと知って、深く反省する…。
「ねぇ…水瀬じゃなくて俺を見て」
「玖珂、くん…?」
いつも穏やかに笑っている玖珂くんが、今は真剣な眼差しでそんなことを言うから戸惑いが隠せない。



