屋敷に戻って
寝室へ入ってからも


「他の奴に触られたと思うと
 腹が立ってしょうがねぇ」


碧斗さんは
わかり易く不機嫌さを露わにした

お風呂に入って
全身を隈無く洗う碧斗さんを見ながら

ふと・・・


「どうしてあの倉庫に私が居ると
 分かったんですか?」


疑問が口から出た


「あぁ、あれはこれのおかげ」


私の首にかかるネックレスに触れた


「この中に発信機とマイクが仕掛けてある」


詳しくは教えてくれなかったけれど
私と歳の違わないニノ組が
碧斗さんの知らない間にその仕掛けを作ってくれたらしい


「しかしババアめ
 陽菜を危ない目に遭わせるなんて
 許さねぇ」


思い出しながら怒る碧斗さんに


「助けに来てくれて
 ありがとうございました」


どんなに心細かったかを並べ
湯船に浸かりながら
その広い胸に頬を寄せた


「もう怖い思いはさせねぇ」


「はい」


「俺以外とは出掛けなくて良い」


「え?」


理不尽に笑う横顔にも
今は何を言っても無駄と諦めた


お風呂上がりのベッドの上で

何度も何度も啄むように落とされる切ないキス


それを引きはがすように
一平さんが現れた


「会長が待ってる」


その声に渋々離れた碧斗さんは

怒りを纏ったまま
二人が待つ部屋の扉を開けた