「らしくないよな・・・俺」


そう言った碧斗さんは
頭の天辺にキスを落とすと


 「俺の知らない所で陽菜が危険な目に晒されてないか不安で仕方ない
 ガチガチの護衛の中だとしても心配で仕方ないんだ」


初めて聞く碧斗さんの胸の内は
私のことを本心で想ってくれている内容だった


 「陽菜・・俺のことだけを見てろ
 ・・・俺はお前に惚れている
 お前の気持ちが俺に有ろうが無かろうが関係ない
 俺が欲しくて手に入れたんだ
 死ぬまで俺の側に居ろよ」



・・・惚れて・・・いる?


まさかそんなはずがないと
碧斗さんの甘い声に思考が追いつかず

でもそれが本心ならと嬉し過ぎて堪えきれず涙が溢れだす


腕の中で碧斗さんの鼓動を聞きながら

初めて碧斗さんの背中へと腕を回して

ギュッと抱きしめ返した


「私も・・・碧斗さんが
 ・・・碧斗さんのことが
 好き・・・大好きです」


ずっと芽生えていた想いを吐き出した


「陽菜」


隙間なく抱きしめられていた身体が離され
首を傾けた碧斗さんに
顎を引き上げられ
ゆっくりと唇が重ねられた

何度も啄むように
離れては見つめ合い
また口付ける

初めてお互いの想いを口した
甘く切ないキスを

簡単に引き剥がしたのは一平さんだった


「お取り込み中の所悪いけどさ
 会長が催促してる」


急かす一平さんの声に


「チッ」


瞬時に黒いオーラを纏うと


「ジジイぶっ潰す」


怒りを露わにして
不機嫌さを全開にしたまま

桧垣さんの車に乗り込んだ