ここへ来て半年の間に
屋敷内に居る全ての人達を把握したつもり

そのほとんどは奈美さんからの情報

碧斗さんが龍神会一ノ組大澤組の組長を襲名して

代替わりが行われた

必ず碧斗さんと一緒にいる一平さんは一ノ組大澤組の若頭になったらしい

一平さんはニノ組田嶋組の出身だけど少し訳有りみたいで

子供の頃から碧斗さんと一緒に育ち
碧斗さんを組長と呼ばない唯一の人物

運転手は桧垣さん
桧垣組は龍神会三ノ組を任されているらしい
確か・・・私が連れてこられた夜も
桧垣さんの運転だった

屋敷の料理人である田村さんは
龍神会傘下の組で幹部だったそうだ

頭に巻いたタオルと
笑うと下がる目尻がそれを忘れさせるほど温厚に見える

先代の頃の抗争で深傷を負って足が少し不自由になったそうで
今は別の形で沢山の組員さん達を支えている

強面の多い屋敷の中で
ごく自然に暮らせるようになったのは

碧斗さんに囚われている所為

変な意味ではなく
碧斗さんに全てを委ねているだけで

自然と安心できるようになった

そう思えるようになったのは
気持ちに変化が生まれたこと

その芽生えた気持ちを
未だ口にしたことはないけれど


・・・以心伝心?


何も言わなくても碧斗さんは私の変化に直ぐに気付いてくれるから

きっとこの気持ちを口にしなくても分かってくれているはず


都合の良い解釈をしながら
気付けば半年も経っていた