「・・・っ」


碧斗さんの唇が肌に触れるたび
少しの痛みが走る

それは何度も繰り返されて

身体中に赤い印が刻まれた


「陽菜・・・」


肌を晒す自分が恥ずかしくて碧斗さんにしがみつく


碧斗の匂いをいっぱいに吸い込みながら
心地よい感覚に陶酔する


クルリと景色が反転し
覆い被さる碧斗さんの

少し汗ばむ身体が心地よくて
抱きつくと


「お強請りは上手くなったな」


鼻で笑う吐息が頬にかかる


こんな時はきっと
片方の眉が上がっているはず


それを想像できるようになったのも
心に変化が生まれたからかもしれない


「・・・陽菜っ」


間近で囁く声に
ゆっくり瞼を開くと


いつもより優しい瞳が見えた


ゆっくり口付けが落とされ
瞼を閉じると
心まで溶かされる


碧斗さんの息遣いと
重ねられた身体の温かさが


甘く広がる・・・


その甘さに脱力し溺れた



「陽菜以外の女は抱かない
  ・・・約束する」



穏やかな顔つきの碧斗さんを
薄目を開いて確認すると


嬉しくて、嬉しくて・・・
間近の唇にチュッと音を立てて口付けした


離れる時に見えたのは
驚いた表情だった


「優しく出来ないかもしれない」


そう聞こえたと同時に
密着していた肌が離れた


碧斗さんの腕に捕まり
翻弄されながら波に飲まれる


深い快感の中を漂うように
髪を振り乱し何度も昇りつめる


・・・・・・壊れても良い


そう思える程



碧斗さんへの気持ちを
今なら素直に認める


離れていた碧斗さんが
覆いかぶさり果てるのを感じた頃には


指一本も動かせなくなっていた