「大丈夫か」




覗き込まれた顔を
見ることも出来ないほど乱された思考と身体は

撫でられただけで

高みに押し上げられた


つま先から迫り上がるような
体験したことのない気持ちよさが
身体中を駆け巡り


やがて・・・

泡が弾けるように収まった


「ハァハァ・・・」


肩で息をする身体を
お湯が温める


「感度抜群」


指摘されるとは思わなくて


恥ずかしさのあまり
顔から火が出るかと錯覚するほど
身体中が熱く火照った


「やめ・・・て」


「やめる?これからが始まりだ」


ククと笑うとまた抱き上げられて
素早く全身を拭かれベッドに運ばれた



「委ねてろ」



甘い吐息混じりの低い声が
耳たぶを振動させ

頸にかかる



「・・・っ」



堪えようとすればする程
脈打つように顔が熱くなる



「陽菜」



おでこから順に落とされる口付けが

唇まで辿り着く


緊張のあまり強く震える身体を落ち着かせようと
ギュッとシーツを握りしめた


そこからの記憶は
とても曖昧で


でも


その記憶は


忘れたくないほど
痛くて甘い幸せな時間だった