ドンドンと打ち付ける鼓動と
最早コントロール出来ない程荒くした呼吸

それを増幅させるように


合わせた唇を少し離すと
ヌルッとした感触が唇の輪郭を這った


・・・や、やだ


キスも初めてなのに・・・
一時間程前に会ったばかりのこの人に

いや・・・既に夫になった知らない男に

唇を舐められている


その現実が受け止められなくて

じわりと頭を反らして逃げようとしたのに

頭の後ろに回された手が行く手を阻み

更に唇が押し付けられた

警戒心とは裏腹に
ウットリするような感触に

意思に反して肩の力が徐々に抜ける
それを待っていたかのように
唇を割って熱い舌が侵入した


・・・だめっ


逃げようとする身体は
しっかりと腕の中に収められており


口中を蠢く舌は
ゆるりと唾液を孕みながら
甘い刺激を続ける

絡める程に力の抜ける身体は
気がつけば床に背中を着けていた