都内某所の居酒屋

現在時刻18:56


「んも~〜ごめんって〜」


顔の前でパチンっと手を合わせて首を少し傾げる会社の先輩---谷 雪菜さん---。

ゆるふわ系美人で社の中でもダントツの人気を誇っている。


「なんで今日なんですか……っっ!!!」


くっと涙を堪えながら恨めしい顔で谷先輩を見つめる私---藤井 牡丹---。

胸の下あたりまである黒髪を三つ編みにして、前髪で顔を隠している。
今時そんな奴いるのか、と言ったスタイルだが現にここにいる。生まれてこの方ずっとこのスタイルで生きてきた。


そして私たち2人の他にあと2人綺麗な女性がいる。ひとりはクール系美人でもうひとりはかわいい系。

え?なになに今からゲャルゲでも始まんのかよ!と言った感じ。

ていうかなんでこんな美人の中にあたしいるの、場違いもいい所でしょ!!




それに。



それに今日は〇剣〇舞の放送日なのに!!!!!私の推しが!!!出るのに!!何でわたしはこんな所にいるのおおおおおお!!!



「谷先輩どうして今日なんですか…….、わたしの推しが……癒しがぁあぁ……」


はぁああぁああと、この世の終わりのようなため息と共に先輩に投げかける。


「も~〜しょうがないじゃない!どうしてもひとり足りなかったんだから〜」


「だからって私じゃなくてもいいじゃないですか!と言うかむしろ!私より適任者沢山いましたよね!?!」


「だって牡丹ちゃん、こういった機会でもなきゃ男の人と話さないでしょ?
もういい歳なんだから、そろそろちゃんと現実みなさい!」


「今日来たって私は話しませんよ!そ、それに、私は別に彼氏が欲しいなんて思ってもないですし、この先結婚もする気ないんですよ!」


「も〜~まぁたそんなこといって!折角綺麗な顔してるのにこんな風に隠しちゃうし…。牡丹ちゃん色々勿体ないっていうか…ちゃんとすれば素敵な恋できると思うんだけどなぁ」