「実はね、あの……」
「うん。」
「わたし…、気になる人が…………その………」
「はぁー。あぁ、知ってるよ。藤原だろ?」
なかなか切り出さない梓に痺れを切らして切り出した。
「え!?」
「どうして・・・。」
「いや、だってお前見てればわかるよ。」
「え・・・そうなの?かなちゃんにも言われたよ。」
「…。ま、わかりやすいのかもなお前って。」
「えっ・・・。
わたしってそんなわかりやすいかな・・・」
どうしようと顔を赤くして動揺している梓。
そんな梓を見て小さくため息をついてからまた話を切り出した。
「で?」
「へ?」
「どうするの?告白とか?お前、恋愛経験なくね?」
「う…そうなんだよね。だからどうしたらいいかわからなくて。実は去年の4月から好きなの…。」
「4月?!!!!それはわからなかった・・・。てことは、メールとかはもうしてるの?」
「いや・・・」
「SNSは?」
「えっと・・・」
「じゃあ地元は・・・?」
「・・・」
「お前1年間何やってたんだよ!わかる?!365日もあるんだぞ?時間でいうと8760時間!!!」
「ひぃいいい!ごめんなさい。」
「はぁーーー。………で、お前あいつとどうなりたいわけ?」
「え。どうって…それは…まずは仲良くなって、最終的には付き合えたら……。」
「結構本気なの?」
「もちろん!!でも…気持ちだけで何も行動できないの。」
「・・・」
「ごめんね。心配してくれてたのに相談しなくて。」
「いや、勝手に変な態度とって俺が悪かったよ。ごめん。」
久しぶりの喧嘩のような雰囲気と、謝ったあとの気まずさでしばらくお互い黙ってしまった。
「はぁ。なんかさ、おかしいよね。」
ため息をついてふてくされたように梓は言う。
「何が?」
「いやぁ、裕太郎とはこうやって普通に話せるのに藤原くんとは挨拶が精一杯なの。」
「それはお前が俺のこと…!」
裕太郎は、少しムッとして何かを言いかけたが、少し考えてやめた。
「なんかさー、裕太郎が藤原くんだったらよかったのに!」
「え!?」
「だってそしたら、何も意識しないで気軽に話せるもん!」
ガンッ!!
裕太郎は電柱に思いっきり頭を打ってから大きな大きなため息とともにその場にしゃがんでしまった。
「え!?裕太郎!?ちょっと、大丈夫??」
梓が駆け寄って隣にしゃがみ、心配そうに顔を覗き込む。
「俺は、お前が梓じゃなかったら縁切ってる。もう絶交だよ絶好。絶対にな。」
「え!?どういうこと!?ねぇ、本当に大丈夫??立てる?」
裕太郎の気持ちとはうらはらに純粋に心配をしている梓。
「梓…」
「なに?どうしたの?やっぱり痛い!?どこか調子悪いの!?」
「違う。聞いて、俺なら大丈夫なの?」
「え?うん!」
「俺だけ?」
「うん!」
「…よし、なんかメンタル復活してきた。」
「え??なに?」
そう言った裕太郎は顔を上げて決意したように言う。
「じゃあさ、俺と恋人ごっこしてみれば?」
