今日は天気が良くて気持ちがいいですねとか、何気ない世間話を振ってくれる吉原さんから、官能的なバラの香りが漂ってきた。
しかもそれが凄く彼女に似合う香りで、その完璧さに溜め息が零れそうになる。
吉原さんは私の苦手とする自分プロデュースが上手な人だ。
どうしたら上手くなるのか是非ご教授いただきたい……と、そこまで考えて、そう考えている自分に驚いた。
今までそんな風に自分を飾ろうなんて思ったことがなかったから。
いや、最低限の身だしなみは気をつけているけれど、メイクはいつもナチュラルだし、それは髪型も服装も然りで。
香水も一応持ってはいるけど、普段からあまりつけたりしないのだ。
でも今、私は確かに上手くなりたいと考えた。
綺麗に、なりたいと。
これって、もしかして……
「いち君の、影響?」
やっぱり私は彼を意識しているのだと、思わざるを得ない。
「いち君、ですか?」
「えっ!?」
吉原さんの声がいち君と発して、驚いた私は目を見張る。
もしかして、彼女もいち君と呼んでいるのかと思いきや違うようで吉原さんは「今、真山さんが口にしていたので」と教えてくれた。
どうやら知らないうちに声にしていたらしい。
羞恥で頬を染めながら、私が気にしないでくださいとお願いしたところで、目的地の会議室に到着した。



