いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~



「え、なに? 一人?」


再会を喜びながら、首を傾げる聖司。

サイドに流された長い前髪が柔らかく揺れる。


「違うよ。えっと……幼馴染と、一緒に来てるの」


彼氏でもない。

ただの友人というのも違う。

今のいち君との関係を言葉にするにはそれしか思い浮かばなくて伝えると、聖司は幼馴染が女性だと勝手に決めつけたようで。


「そっか。俺も残念ながらデートじゃなくて、仕事の関係で来てるんだよね」

「今、何の仕事してるの?」


見れば、彼が纏うのはスーツではなく、どちからと言えばカジュアルな装いだ。

ジャケットこそ羽織ってはいるけれど、パンツはデニム。

どんな仕事なのかと疑問に思い尋ねると、聖司は黒いジャケットの内ポケットから名刺を取り出して私に差し出した。

オシャレなデザインの名刺には、インテリアコーディネーターと印字されている。


「今度、この水族館にレストランが新設される予定なんだけど、その関係で今日は水族館の下見に来たんだ」

「そうなんだ。凄いね」


でも、昔からオシャレが好きな人だったし、彼がこの道に進んだのも納得がいった。


「まだまだ、駆け出しだけどね。ところで同窓会の案内、沙優ちゃんとこにも届いた?」

「うん、昨日」

「行く?」

「まだ決めてないよ。仕事も忙しいし、どうしようか迷ってるんだ」


同窓会の日付はデザインが決定する時期と重なるし、もしかしたら難しいかもしれない。

なので、八割方欠席で考えているのだけど……


「行こうよ。俺、沙優ちゃんともっとゆっくり話したいし」


みんなとも会えるよ。

そう言われて、ほんの少しだけ揺らぐ心。