彼が案内してくれたのは、企画部専用のミーティングルームだ。
茶色の会議用デスクを囲む八つの白い椅子。
いち君が座って待っていてと椅子を引いてくれて、私はお礼を述べてから腰を下ろした。
そうして、彼が扉の向こうに消えたのを見送ると、カバンの中から名刺や手帳等、必要な物を取り出す。
この場所に通される途中、透明なガラス越しに仕事をしている社員の姿を目にした。
そして気づいたのは女子社員の多さ。
化粧品の商品企画ともなれば、活躍するのも女性が多いのかもしれない。
……ということは、つまりいち君はいつも女性に囲まれて仕事をしているのか。
考えた途端、胸の奥がモヤっとする。
いや別に私はいち君の彼女じゃないし。
彼女じゃない、けど。
もし、彼女になるのなら少し心配になる環境ではあるよね。
いや!
彼女になるかは未定だけど!
自分で想像して慌てて否定する。
脳内で幾度か繰り返していたら、コンコンとノックの音が室内に響いて、私は背筋を伸ばした。
「はい」
返事をすると、ミーティングルームの扉が開いて。
「お待たせ。企画書をどうぞ」
現れたのは、クリアファイルに挟まれた企画書を持ったいち君と、もう一人。
「失礼します。お飲み物をお持ちしますが、何がよろしいですか?」
コーヒー、紅茶の他に緑茶もありますよと優雅に微笑んだ女性。
二十代後半……多分、私とそう変わらない年齢だとは思うけど、私とは比較にならないほどの綺麗な人に、目が釘付けになる。



