いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~



待ち合わせ場所は駅前広場に建つモニュメント時計の前。

ここは待ち合わせするには定番の場所となっていて、他にも友人や恋人を待っている人たちがたくさんいる。

いち君はまだ私には気づかず、視線を街頭ビジョンに向けて企業のCMを見ているようだ。

【シキシマエージェンシー】という、大手広告代理店の名前を目の端に入れつつ、私はそっと深呼吸する。

デートなんていつ振りだろうか。

しかも相手がいち君ということに緊張していれば、ふと心地の良い風が吹いて、強張りを解すように私の頬を撫でた。

それは私を待ついち君の髪も柔らかく揺らす。

彼の指が少し乱れた髪を直すように動いた時、周りにいる女性たちの視線がいち君に集まっていることに気づいた。

昔からそうだ。

その顔立ちの良さと、モデルのようなスタイルに女性は自然と目を奪われる。

中学の頃は、彼の隣に立っているだけで睨まれたことがある程に、いち君のファンも多かった。

清潔感のある白いシャツに細身のデニム。

羽織っているパーカーもカジュアルで、特に目立つようなコーディネートではないけれど、彼の持つ魅力により惹きつけられてしまう。

そんないち君に声をかけるのは比べられそうで少し勇気が必要だ。