「うん、元気だね。良かった。朝から引っ張り回したし、疲れもあったのかな。ごめん」
気遣うように眉を下げて微笑んだいち君に、私はゆるりと首を振って否定する。
「謝らないで。私の管理の問題だから」
だけど彼は肯定も否定もせず、私の頬に手のひらを当ててから立ち上がった。
「夕食はどうする? さっき石原さんが作ってくれたよ」
尋ねられてベッドルームの窓に視線をやれば、外はすでに陽が傾き、太陽が地平線に沈もうとしていた。
「バトラーさんて料理までできるの?」
「ここのバトラーはね。で、君のは負担にならないようにフルーツやリゾットとか用意してくれてるから、食べれそうなら言って」
頷くと、いち君はお水を持ってくると言い残し、部屋から出ていった。
広い部屋にはエアコンの送風音が聞こえているのみ。
私はおでこに乗ったタオルを取ると、ゆっくりと上体を起こし息を吐いた。
やっぱりまだ少しだるい感じがするけど、動けないほどではなさそうだ。
……目が覚めたら、いち君がいた、ということは。
「ずっと、側についててくれたのかな……」
手にした白いタオルを見つめ声を零す。



