ひたり、と。
おでこに冷たさを感じて、沈んでいた意識が引っ張り上げられる。
いつの間に眠っていたのか。
うっすらと瞼を開くと「沙優」と名を呼ばれ、ぼんやりとしていた意識が覚醒した。
「……あれ……私……」
出した声は少し掠れている。
見慣れない天井から視線を動かすと、心配そうに私を覗き込むいち君の顔があった。
「気分はどう?」
問われて、そこで私は少しだるいことに気づく。
「なんとなくだるい……気はするけど、大丈夫」
寝起きのせいかもしれないし、彼を安心させたくて伝えれば、いち君は安堵した息を吐いて微笑んだ。
「良かった。でもまだもう少し休んでて」
「私、どうしたの?」
ベッドに寝転んだ記憶がなくて尋ねると、彼は私のおでこの上に乗せていた濡れたタオルを手に取った。
「逆上せて倒れたんだよ」
教えられて初めて思い出す。
靄がかかったいたのが、さっと晴れるように「あ……そうか」と。
「びっくりしたよ、いきなり大きな音がしたから駆けつけたら倒れてて」
「ごめん」
さぞかし驚かせてしまっただろうと謝罪を口にしたところで、私ははたと気づく。
バスルームの湯船から立ち上がって、倒れたのだ。
ということは。



