「彼女が魅力的ですみません。でも、俺がいるので残念ですが諦めていただけますか」
キラキラと効果音を放ちそうな爽やかな笑顔に、たじろぐ男性。
「くっそ、眩しいな。でも俺の船に乗ればこの子もイチコロに」
「さぞ素敵な船なんでしょうね。いつか、あなたの船ではなく、あなたに惹かれる方に巡り会えることを祈っています。では、失礼します」
「あ、はい。どうも、頑張ります」
そうして、私たちは一人呆ける男性を残して砂浜を踏む。
「なんていうか、あの人多分悪い人じゃなさそうだよね」
「頭が少し弱いだけかな」
「いち君、敵とみなすと辛辣になるとこあるよね」
「心外だな。かなり遠慮したつもりだけど」
いや、中学の時、学年一の秀才とか言われていた男子にいっつも突っかかられて、笑顔でしれっと酷いこと言っていたのを私は覚えています。
というのは口にせず、私は空笑いだけしたのだった。



