──そこは、花火を見た部屋とはまた違う、南国らしい豪華さで私を圧倒した。
「すっごい! いち君すっごい海綺麗!」
パーティーができるほどの広い庭付きのスイートルームからは青くきらめく海を一望でき、私はその景色の素晴らしさに興奮してしまう。
頭の中からあれだけ悩んでいた水着とか泊まりとかの問題が、花火大会の時と同様、一気に飛んだ。
それはもう綺麗さっぱり。
いち君は喜んでもらえて良かったよと笑って、バトラーと呼ばれるこのヴィラ専任の付き人さんから荷物を受け取っている。
バトラーさんにもニコニコと見守られ、はしゃぎすぎたかなと恥ずかしくなった私は愛想笑いを浮かべた。
ちなみにバトラーさんは石原さんという三十代後半の男性だ。
優しい笑顔に落ち着きのある低い声。
石原さんはウェルカムドリンクをリビングのローテーブルに用意すると、ビーチやゴルフ場、温泉等に移動の際はカートでお送りしますと言い残し、部屋を退出した。
バリ製の家具で統一されたリビング。
茶色のカウチソファーに腰を下ろしたいち君は、テラスに立つ私を手招きする。
私はリビングとテラスが一体化するように開け放たれた窓から中に入ると、彼はスーツケースからピンクと白の二つの箱を取り出した。



