いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~



付き合って六日でお泊まりデートとかどうなの。

いち君は強引だけど軽くはない。

だから信用はしている。

しているけど……

なぜいきなり泊まりなのか。

気晴らしがしたいとか、かな。

もしくは、少しでも長く一緒にいたいという気持ちから?

悶々と考え込む私の肩をポンと軽く叩くいち君。


「大丈夫。こっちでほぼ用意してあるから心配しないで」


さあ、行こうかとエンジンを切って先に車から降りる彼に、私は仕方なく助手席の扉を開ける。

その途端、私を迎えたのはむわっとした夏の熱気だ。

ヘリコプターから降りた時も感じたけど、東京や横浜に比べると日差しが強い。

けれど、ビルに囲まれてサウナのように蒸し暑い都会に比べると、こちらは風も通り気持ちがいい。

ピピ、と車にロックがかかる音が聞こえて、私は広い青空を見上げていた視線をいち君へと移した。

トランクから取り出したスーツケースを右手に持ち、空いている左手でいち君の手が自然と私の手を取る。

するとなぜか、彼はクスクスと肩を揺らした。


「どうしたの」

「うん、完全に頭にないんだなと思って」

「なにが?」

「なんでもないよ。とりあえず、ベッドルームは二つあるからいざとなったらそこに逃げ込めばいいんじゃないかな?」

「……逃げ込むようなことするつもりなの?」

「どうかな?」


からかうように目を細めて微笑むいち君を軽く睨むと、彼は楽しそうに笑って「ロビーはこっちかな」なんて話を変える。

冗談なの本気なのか。

けれど、いち君が嫌がるようなことをするわけがないので、からかわないでと肩でいち君を押せば、彼は愛しむように私を見つめて破顔した。