いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~



最初の部屋は、薄い水色の壁に覆われたダイニングルーム。

家具が全て白で統一されていて清潔感があり、頭上に吊るされたシャンデリアがキラキラと輝いている。

ダイニングの奥にはキッチンスペースもあり、エスプレッソマシンや白い大きな冷蔵庫も設置されていて、カウンターにはちょっとしたスナックやフルーツも用意されているのはさすがロイヤルスイートルームと言わざる得ない。

至れり尽くせりだ。

普通に生活していたらなかなかお目にかかれない部屋に若干テンションが上がり始めた私は、他の部屋はどうなっているのかと、花言葉のことはひとまず置いといて足を前に進める。

ダイニングから連なるのは、広い広いリビング。

全面ガラスの窓の向こうには夕陽を照らす海の景色が広がっていて、それを背景にするように置かれたグランドピアノ。

黒く艶やかなピアノに手を添えながら、いち君は微笑んだ。

それはまるで、一幅の絵のよう。


「今日はここからゆっくり花火を眺めてもらおうかなと思って」


……え?

それって、つまり。


「あの、この部屋は仕事で?」

「違うよ。沙優へのお礼」

「え、待って待って。探し物は?」

「ああ、それはないかな。しいて言えば、贈るはずだった花をあえて今日にして、エントランスに置いておいて、さっき君が見つけた」


「お礼になるかな?」とはにかんだ彼。