レストランと記載された金色のプレートとは別の方へと進み、ハイクラス専用らしいエレベーターに乗り込んで更に上、最上階へ。
ルームナンバーが付いた白い扉をいくつか視界に捉えつつ、絨毯が続く廊下を進み、やがていち君の足が止まったのは【ロイヤルスイート】のプレートが貼られた部屋。
いち君がカードキーを取り出すのを見て、私はやはり仕事で宿泊しているのだと悟る。
そして、忘れ物でも取りに来たのだろうと。
「ここに泊まってるの?」
「昨日、仕事が終わってからね。たまたま空きが出たらしくて運良く予約が取れたんだ」
「そうなんだ。良かったね」
笑みとともに言えば、なぜかクスクスと小さく肩を揺らした彼。
「どうしたの?」
「いや。多分予想もしてないんだろうなと思って」
「なにを?」
首を傾げても、いち君はまた少し笑っただけで答えてはくれない。
釈然としないけど、とりあえずロイヤルスイートに泊まるだなんて、やっぱりいち君は御曹司なんだと痛感した。



