いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~



【午後六時に、ロイヤルホテルのロビーで待ってて】


花火が上がるのは午後七時を過ぎてから。

その前に屋台とか見て回って、どこかで立ち見かなぁと考えてはいたんだけど、その場合だと待ち合わせは駅前かなと予想していた。

まさかホテルのロビーとは考えもしなくて、メッセージを見てから数分、仕事なのではという結論に達した。

忙しいから部屋でギリギリまで仕事をしているとか、打ち合わせがこのホテルで行われている、とか。

だとしたら申し訳ないなと思いつつ、私は纏う浴衣の襟の合わせに手を添えた。

この浴衣は二年前、レトロモダンなデザインに一目惚れして購入したものだ。

白地に赤い椿と紺色のドットがストライプの代わりにラインを引く、少し個性的な浴衣。

ずっと機会を逃していたけれど、ようやく着ることができた。

可愛くなり過ぎないようにと、帯は黒を基調にしたデザインで、帯紐は椿に合わせ赤している。

捻りながら後ろでひとつにまとめた髪に挿したかんざしも赤。

先週に続き今日も頑張ってみたけれど、どこもかしこも浴衣美人が歩いているので、特別頑張った感じには見えないかもしれない。

そんなことを考えながら、辿り着いたホテル。

フロントの前に広がるロビーは吹き抜けになっていて開放感に溢れている。

大きなシャンデリアの下にいくつか並ぶソファーやテーブル。

そのひとつに腰掛けた私は、カゴ巾着からスマホを取り出した。