午後六時。
夏の夕暮れはまだ少し明るく、駅構内は音に溢れている。
行き交う人々の足音や話し声。
運行情報を知らせる放送。
そして、私のスマホの受信音。
私はふと足を止めて、トートタイプのカゴバッグからスマホを取り出すと、少し緊張して画面をタップする。
実は、家を出る前にいち君にメッセージを送信しておいたのだ。
彼は以前、同窓会のことを心配していたから。
今日の飲み会は一応その同窓会絡みだし、やはりひと言伝えておくべきだと考えて、お花のお礼メッセージと共に送信しておいた。
友人に誘われたから、同窓会の幹事会に少し顔を出してきます、と。
安心してもらえるかはわからないけど、ゆっこの名前と店の場所も教えた。
その返信が、今きた。
【連絡ありがとう。楽しんできて。何かあれば迎えに行くから言ってください】
ひとまず穏やかな文面を見て胸を撫で下ろす。
何かあればというのは、終電とか、飲み過ぎとかそんな話だろうか。
だとすれば、明日は仕事だから早めに帰るつもりだし、私は元々あまり飲まないから特に何もないだろう。
そう思って、指定されたBARに入ったのだけど。
「何で、いるの」
まさか、いち君が警戒している本人が。
「おー? マジで? さすがにこれは運命なんじゃない?」
ここにいるなんて。



