ゆっことは、彼女が出産してから年に一度くらいしか会ってない。
確かにそろそろ会いたいなと考えていると、ゆっこが『それならさ』と再び明るい声色で続ける。
『実は今夜、横浜で幹事会するから良かったら来ない?』
聞けば、どうやらゆっこは今回の同窓会で幹事メンバーに入っているらしい。
で、当日の打ち合わせを今夜するから参加して飲もうと誘ってくれた。
今夜は特に予定もなかったし、明日に響かない程度であればいいかなと、私は承諾する。
『やった! お店とか時間は今からメッセージ送るからよろしく。じゃ、また今夜に』
テンションの高いゆっことの通話を終えると、私はスマホで時刻を確認する。
十四時二十五分。
家を出るまでまだまだ時間はある。
けれど、何を着て行くかだけ決めておこうと、こちらもまた本日二度目となるクローゼットの扉を開けて、ハンガーに手をかけた。
頭の隅で、いち君に飲み会に行くことを報告すべきかと悩みながら。



