契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

「え? 上村先生?」

翌日、休憩の合間に聞いてみると、小沼さんの顔が途端にパッと明るくなった。

「かっこいいですよねえ。内科の風間、外科の上村って有名ですもん。ウチの病院の二大イケメン」

「二大イケメンって、言い方がすごいですね」

「そうですよねえ。
まあでも、外科の看護師の間でも風間先生のほうが人気みたいです。
二人は同期らしいけど、あまり親しそうじゃないんですよね」

小沼さんは2歳年上のおっとりした同僚だ。

外科病棟を担当しているから、なにか上村先生について聞けるかと思ったけど、こんなに食いついてくれるとは思わなかった。

「それがどうかしたんですか? もしやそっちに乗り換えたり……?」

「そんなわけないじゃないですかっ」

「ふふっ、冗談ですよお。
でも、上村先生は風間先生と真逆なんです。
女好きっていうと言い方は悪いけど、しょっちゅう噂はあるみたいですよ。
相手はナースだったり、研修医の女性だったり、色々だけど」

『あいつには近づくな』って、そういう意味なのかな。

人妻だし、そもそも私みたいな平凡な顔の女には興味がないと思うけど。

「そういえば、上村先生は風間先生に敵対心を持ってるって噂聞いたことあるなあ。
風間先生ファンのほうが多いのが気に食わないらしいって。
あくまで噂ですけど」

昨日の上村先生の言葉を思い出したら、確かに風間先生を意識しているような感じだった気がする。

…まさかね。