契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

ルームサービスで食事を済ませたあと、先にバスルームを使わせてもらった。

温泉のように大きな浴槽の外にガラス張りのシャワーブースが付いていて、バスルームの中には自分以外誰もいないのに、誰かに見られているようでそわそわした。

私と入れ替わりに悠さんがバスルームへ行ったあと、カーテンを開け放したままの窓の向こうはいつの間にか真っ暗で、なにも見えなくなっていた。

夢の時間の期限はいつの間にか過ぎてしまったようだ。

さっきまで私たちはあそこでキラキラした光の中にいたのに。

無性に胸が苦しくなって泣きそうになってくる。

ぼんやりと暗い景色をただ眺めていたら、悠さんが苦笑いをしながら戻ってきた。

「シャワールーム少し恥ずかしいな」

悠さんが私のそばのテーブルに置いたスマホを手に取ろうと屈んだらバスローブが不意にはだけ、胸もとが露出した。

鼓動が高鳴って、思わず目をそらした。

「あ、すまない。こういうのは嫌だよな」

悠さんは気まずそうな様子でバスローブを整える。

『こういうの』…?

家でお風呂の後にちゃんと服を着て出てくるのは、悠さんの元々の習慣なんだと思っていた。

だけど違ったのかな。

私に気を使ってくれていたのかな。

本当の夫婦じゃないから、私が嫌がると思って。

「ベッドもじゅうぶんな大きさだな。これなら二人で寝ても大丈夫だな」

『これなら』って…狭かったら一緒に寝られないの?

私との距離を保ちたいから?

…そんなところにまで、気を遣うの…?