「悠さんっ、早く行きましょう!」

「もうすぐ着くから、落ち着け」

悠さんは呆れ気味に言いながら車を走らせる。

美咲の部屋に泊まりに行った翌日。

悠さんが『明日休みだから、どこかへ遊びに行こう』と提案してくれた。

どこがいいかさんざん迷ったけど、滅多に行く機会のない近県の遊園地に連れて行ってもらうことにしたのだ。

例のストーカーは捕まったけど、あれからなんとなく気持ちが張り詰めていたから、こんなふうに気分転換に出かけられるのは嬉しい。


高層ビルばかりの景色から離れ、やがて見えてきたのはおとぎ話のようにカラフルな建物やお城。

絶叫マシンの曲がりくねったコースも見える。

八時半、開園とほぼ同時にチケット売り場に並んだのに、もう園内は人で溢れかえっていた。