その後、美咲が用意してくれた野菜たっぷりの中華を堪能し、お互いにシャワーを済ませた。

美咲のベッドの隣に布団を敷いてもらって横になる。

「凛」

「ん?」

静まり返った部屋で、美咲の声がやけに響いて聞こえる。

「私は風間先生とは接点ないけど、凛の話聞いてると、すごくいい人なんだなってと思うからさ。
大事にしなよ? 
せっかく掴んだ幸せ」

美咲が真面目にこんな話をするのは珍しい。

私の突然の結婚を、美咲なりに心配してくれてたのかな。

私が掴んだのは、本物の幸せじゃないけど…

そこに愛はないけど…

「美咲」

「んー?」

「ありがとう。美咲の結婚報告も楽しみに待ってるよ」

「ははっ、どうだかねえ」

美咲には年下の美容師の彼がいる。

好き合って一緒にいて、いずれは愛のある結婚をするかもしれない美咲が、心底羨ましいと思った。