翌日、朝一番で栄養指導の予約があり、事務室から栄養指導室へ向かった。

栄養指導室は外来患者さんが多い1階ロビーの近くにある。

4つのブースがあり、管理栄養士が時間枠で予約をとっている患者さんの栄養指導をするのだ。

「高血圧はないようなのですが、野原さんの場合、塩分は一日6g未満が目安ですね。
ちょっとした工夫で塩分は減らせるんです。
例えば食事を作るときに下味をつけないとか、汁物は具を多くして汁を少なめに盛るとか…」

偉そうなことを言っているけど、管理栄養士が自分の栄養をしっかり管理しているかというと、決してイエスとは言えない。

こんなことを言っていられるのも患者の前でだけだ。

私なんか、今朝は朝ご飯抜いてきたし、お昼にはカップ麺を買ってある。

「ありがとうございました」

「お大事にしてください」

会釈をして去っていく患者さんに、私も丁寧に頭を下げた。