契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

課長からファイルを受け取り、パソコンで電子カルテの中身を確認する。

仕事に集中しなきゃ…

はあッと息を吐いて気合を入れた。


6階に行って、ナースステーションに「お疲れ様です」と声をかける。

結婚したばかりの頃の冷ややかな態度なんてなかったかのように、今はどの看護師さんも協力的だ。

患者さんの部屋に向かう途中に、長身の白衣姿が目に入った。

反射のように胸が鳴る。

片方のポケットに手を突っ込んで、もう片方の手に持ったカルテを眺めながら歩いてくるのは、悠さんだ。

一瞬目が合ったけど、すぐにそらして小さく頭を下げ、そのまま足早に悠さんの横を通りすぎた。

今夜は悠さんは当直でいない。

美咲のところに行こうかと思ったけど、連絡して見たら今日は準夜らしい。

風邪薬を飲んで、早めに眠りにつくことにした。