契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

「根津先生じゃなくて、菊川先生でしょ?」

悠さんはハッと息をのむ。

「…知ってたのか」

「どうして嘘なんかつくんですか!?
北川の時はあんなに怒ったのに、どうして悠さんは…!」

もう涙は止まらない。止める術が見つからない。

だって悠さんは嘘をついた。

やましいことがないなら、嘘なんかつく必要がない。

「菊川先生は一番飲みに行っちゃいけない相手じゃない!
それは悠さんが誰よりもわかってるんじゃないですか!?」

「凛、これは…」

「放してっ!!」

掴まれた腕を思い切り振り払った。

「もう何も聞きたくない」

「凛…」

自室に入って乱暴にドアを閉めたけど、悠さんの言い訳はもう聞こえてこなかった。

…ほらね。思った通り。

8年ぶりに会って気持ちが盛り上がらないなんて…言い切れないじゃない。