契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました

「よく考えろよ?ここでお前が酔っ払って寝ちゃったとする。
その後どうするんだ。
俺がマンションまで送ってったら先生が誤解するだろ」

「…そっか。そうだよね。ごめん」

バカだな、私。後先考えずに…

すでに北川に迷惑をかけてるのに、私は何をやってるんだろう。


結局、仕事の話をしながら最後にウーロン茶を飲んでお店を出た。

「…相談くらい乗るからさ。男の気持ちは男に聞けってことで。
ひとりで自暴自棄になるなよ。
お前らしくない」

駅へ向かう信号待ちの途中、北川は前を向いたままそう言った。

「…いいやつだね、北川」

「何を今さら」

「なんで彼女いないんだろうね」

「なんでいないって決めつけるんだよ」

「え?いるの?」

北川は眉をへの字に寄せて口ごもる。

「…この前別れたばっかだよ。
浮気されちゃってさ」

「そっか…」

いいやつなのにな。

私が女の子を紹介してあげたいくらいだ。

「…頑張れ、北川」

「…なんか慰められるの、逆になってない?」

北川がばつが悪そうに呟いて、思わず吹き出して笑った。

飲み足りないって思ったけど、気持ちが少し楽になった気がする。

ひとりで飲んでたら悶々としたままだっただろう。

北川に感謝しなくちゃ。