「不愉快だ!ほらみんな!二次会に行くぞ!」

神田先生は「ふんっ」と鼻を鳴らし、メンバーを引き連れてガニ股で歩いていく。

他のメンバーが気を遣わなきゃならないことを心配したけど、振り返った市川さんが目くばせしてくれたから少し安心した。


「…大丈夫か?相沢さん」

風間先生の声が降ってきて見上げたら、先生は眉をひそめて私を見ていた。

「飲み会の間、ずっとあんなだったのか?
俺のいたところから死角になってて」

「いえ、大丈夫です。助けてくれてありがとうございました」

「いや、助けてやれてない。悪かった」

顔を曇らせながら、先生は「行こうか」と言って駅のほうへ歩き出す。

本当に送ってくれるんだ…

しかも私に合わせて、ゆっくり歩いてくれてる気がする。