私の心の中にいつも君はいるよ





矢坂村って駅名だけあって
ここは本当に坂道が多い。


学校の敷地の問題からか坂道を
永遠と上った先に校舎があるの。



「ハァハァ、まだ先だー」




おかしいな入試の時はこんな遠くに感じなかったけど。



めげずに足を動かすけれど、息が上がるし少し汗ばんできたしもう最悪です。


せっかくメイクしたのに汗で落ちちゃう。


ていうか春なのにこれだと夏とかやばそう。


入学早々、何を言っているんだ。



トロトロと坂道を登っている私の横をスタコラサッサと歩いていく人影が見えた。


男の子?……2年生か3年生かな。


登りなれてるというか、




「ファイト~~!」



一目を気にせずやけくそのように声に出して突き進む。



「朝から元気ね。」




後ろから呆れたような低いトーンで声をかけられ振り向くと、私よりスカート短かめで髪の毛も明るい赤茶だしメイクもガッツリな女の子が私のことをガン見していた。




「お、おはよう」

「おはよう、それにしても本当元気だよね」

「へ?」




女の子は私の隣に並ぶと歩幅を合わせながら学校に向け歩く。



て言うか、この汗を流しメイクも薄れてヨタヨタの私を見て元気って思うのかな。




「ファイト~って自分に言ったの?」

「言った、気合い入れようと思って」

「プハッ、いいじゃん。名前なに?」

「え?名前?美侑、だけど。」

「美侑。私、楓(カエデ)。」




楓ちゃんは名前を言うと再び前を向き目の前の坂に唸っていた。



何かオーラがすごい。


堂々としているというか、
私とはタイプが全く違う女の子。