このまま何もせずに、無感情にグラウンドを眺めている訳にはいかない。
  

 だけど、だからと言って家に帰れば地獄のような受験勉強が私を待ち受けているのだ。


 憂鬱だ。とてつもなく憂鬱だ。


 暫く、ぼーっとしていると、いつの間にか時計の短い針が既に五時を回っていることに気づく。

「やっばっ‼」

 学校から私の家までの距離はとてつもなく長い。

 
 何を血迷ったのか、私は中学受験なるものをし結果、市内、いや県内指折りの進学校に入学してしまったのだ。
 
 
 家から学校は遠いわ、勉強は難しいわ、課題は多いわの三連発で最初は心が挫けそうになったが、二年半もの月日が流れれば、自然と慣れていくものだ。

 
 ちなみに、学校までは何本もの電車を乗り継いで通っている。時間にして、約九十分。今から帰れば、なかなかの時間帯になっているだろう。