ある晴れた日、うちは一軒の家を目指して、走っていた。

…というのは嘘で、まったりと歩いていた。


うちの名前は朱里、正真正銘の普通の女。

他の人とは違ういいところは?と聞かれればすぐ答えれない。

そんな、ちょい悪めの普通の女。

そしていまうちが目指してるのは友達、悠の家。

悠の家は少し古くて、和風な家。

周りには新しい家ばかりで少し浮いているけど、結構馴染みやすい家。

お気に入りポイントベスト3には入るかな。


そんな紹介をしている内にうちは古っぽい家の前にいた。

そう、ここが悠の家。

携帯で時間を確認。

…少し、ほんの少しだけ家の戸をたたきずらくなったかな・・・

「大丈夫」

そう自分に言い聞かせうちは玄関の扉を軽くたたいた。


ダッダッダッダッ…


足音がだんだんと大きく…


ズドーーーー…!


…足音が遠ざかっていった…


ガラガラガラガラ…


「おい朱里!!お前遅いよ!!何分遅れてると思ってんだよ!!」


…さっきこけた人物、そしてこの家の主である、悠。

絶対、今こけたっていう事実を消してるな…


「…さぁ?」


とぼけて言ってみる。

こう言ったら、悠はいっつも


「……おーい!!てんー!!朱里何分遅れ?」


って誰かに聞く。

これ、いつ見てもおもしろくて笑ってしまう。


「…32分遅れだね。というか悠さっき転んだ?」


クスクス笑いながら出てきたのは天。

美人で成績もいい。


「…32分遅れって!!なめてんじゃねーぞこら!」

「ごっめーん☆さっき車にはねられたんだー☆」


やっぱり悠達といたらテンション上がる!

あ、上の嘘?

ありきたりだけどね、


「まじでかこのやろぉ!!」


悠は簡単に信じるんだよ。

たぶん本当は信じてないんだと思うけどね?