拒否はしなかった。何を思ったのか自分でも分からないけど、最後のベルが鳴るまで一緒に居たかった。
走り出してすぐ、隆平は話し始めた。

「今日くらい、お互い本気で話さない?全部じゃなくていいからさ」

相槌だけで返事をした。

「俺さ、結構本気で麻衣が好きだったんだよ。なんて言うのか分からないけど、あんなに弱ってる女の子に会ったの初めてだったからさ、守ってやりたいって思ってた」

「なにそれ」

すぐに素直になれるわけなくて、嬉しかったけど突き放した。

「あたしはさ……佑也がいなくなって、しゅんに失恋して、その時1番近くに居てくれて、1番理解しようとしてくれてた人がりゅーちゃんだ、って別れてから気付いた。バカかも知んないけど、言い訳かも知んないけどね、別れなきゃきっとりゅーちゃんのこと好きだって思えなかったと思う」

全部本音だったことは間違いない。ただ何かを隠して話した。

「麻衣が今付き合ってる人はどんな人なの?」

「正樹って言うんだけどね、ヤンキーだから結構すぐ喧嘩になって殴り合いとかしちゃう」

笑いながら喋った。

「せめて麻衣は殴るなよ。女なんだから」

隆平も笑ってた。

「りゅーちゃんは?」