俺を好きにならないで

「さ、さすが……準備いいね」


「待つと思ったから先に買っておいた。映画の案を出した時に美紅が『君と隣で』を見たいって言ってたからそれにしたけどいい?」


「うん!」



覚えていてくれたんだ。


彼の優しさを感じながらそっと鞄から財布を取り出す。



「別にお金はいらない」


「えっ。でも」


「いいよ。大丈夫」



こう言ったら彼はお金を受けることは無い。


それはココ最近何度も経験したことだった。


だけど、払ってもらってばっかりでは私の気が晴れない。



「な、なら!食べ物は私に奢らせて?」


「や……」


「ダメでーす!もうこれは決定事項だから!」



少し強引に行かないと彼はきっと自分の食べ物を買ってしまうだろうし、私の分まで買いそうだ。


深見くんをどうにか説得して私は食べ物を買ったのだった。