俺を好きにならないで

全力で元にいた場所に戻ると、あの人は先程とは変わらない場所で待っていてくれた。



「す、すみませ……」


「ううん。俺は大丈夫だけど、君、大丈夫?」


「は、はいっ……!」



こんなに全力で走ったのは久々だった。


体力が全然足りない。



「あ、あの、これっ!!」



私は手に持っているテディベアを彼に手渡した。



「え……」


「実は私じゃなくて友達が弟のためにクリスマスプレゼント選んでて、私はお手伝いしてたんです!」


「はぁ……」


「せっかくテディベアを譲り受けても友達が買わなかったら意味無いので、今確認してきました!別のものを買うそうです!」


「だからこれを俺に譲ると?」


「はい!お待たせいたしました!」



よかった!


これでこの人はテディベアを買える。


私があのまま譲り受けていたらテディベアを買うことを諦めていたに違いない。