それなのに……。
「美亜!樹くん、アメリカ行くってホント?」
「え?東京の会社に就職って……」
朝、キャンパスの前で不意に梨華に言われた言葉に、私はどんな顔をしたか自分でも分からなかった。
「違うみたいだよ。聞いてなかったの?」
友人の梨華は「しまった……」というように顔をしかめた。
「あ……美亜?ごめんね……てっきり話を聞いてるものだと思ってたから……」
申し訳なさそうに言った梨華に、なんとか涙を耐えて笑顔を作った。
「いいよ、梨華。別に私に言う必要が無いと思ったから、言わなかったと思うし」
なんとか言葉を発した私に、梨華は更に悲し気な表情を向けた。
「でも……美亜たちって本当に……クリスマスに会うんだよね?その時に言うつもりだったのかな……年内には行く見たいだけど……」
それ以上言葉を続けてはいけないと思ったのか、梨華は言葉を濁した。
「え?そんなに早くに?来年とかじゃないの?」
「樹。卒業するのに全く問題ないし、卒論ももう終わってたしね。確かに渡米が早まったみたいだけど」
言葉を選ぶように言った梨華に、私は「そう」とだけ答えた。
「樹君、隠してたみたいだけど、あの大手広告代理店の御曹司なんだって。きっと一人ではどうにもできない事情があるんだよ……」
梨華の慰めに近い言葉も、私には受け止めることができなかった。
樹が御曹司……。
なんだ、やっぱり雲の上の人なんじゃない。
私なんかがどうやっても、どんなに頑張っても届かない人。
「美亜!樹くん、アメリカ行くってホント?」
「え?東京の会社に就職って……」
朝、キャンパスの前で不意に梨華に言われた言葉に、私はどんな顔をしたか自分でも分からなかった。
「違うみたいだよ。聞いてなかったの?」
友人の梨華は「しまった……」というように顔をしかめた。
「あ……美亜?ごめんね……てっきり話を聞いてるものだと思ってたから……」
申し訳なさそうに言った梨華に、なんとか涙を耐えて笑顔を作った。
「いいよ、梨華。別に私に言う必要が無いと思ったから、言わなかったと思うし」
なんとか言葉を発した私に、梨華は更に悲し気な表情を向けた。
「でも……美亜たちって本当に……クリスマスに会うんだよね?その時に言うつもりだったのかな……年内には行く見たいだけど……」
それ以上言葉を続けてはいけないと思ったのか、梨華は言葉を濁した。
「え?そんなに早くに?来年とかじゃないの?」
「樹。卒業するのに全く問題ないし、卒論ももう終わってたしね。確かに渡米が早まったみたいだけど」
言葉を選ぶように言った梨華に、私は「そう」とだけ答えた。
「樹君、隠してたみたいだけど、あの大手広告代理店の御曹司なんだって。きっと一人ではどうにもできない事情があるんだよ……」
梨華の慰めに近い言葉も、私には受け止めることができなかった。
樹が御曹司……。
なんだ、やっぱり雲の上の人なんじゃない。
私なんかがどうやっても、どんなに頑張っても届かない人。

