そんな風に季節はあっという間に過ぎ去っていった。
いつのまにか街にはクリスマスソングが流れ、一気にイルミネーションでキラキラした。

大学を卒業したら別々の道だ。
私も都内の出版会社への就職が決まっていた。
樹も東京の会社に就職が決まったと聞いた。
私の中では、まだ近くにいられる。就職しても同じ大学ではなくなってもまだ樹は側にいる。そんな風に安易に考えて告白しなくてもいいかな……そんな事を思っていた。

「美亜、クリスマスイブって何してる?24日」
いつものように、大学からの帰り道を駅まで歩いているとき、不意に樹に聞かれ私は樹の横顔を見上げた。
「何って……別になにも」
樹にもしかしたら誘われるかも……そう思って予定を開けていたなんて絶対に言えない。